令和8年熊本地震への寄附 個人・法人の税制上の取扱いを整理する

1 はじめに

このたびの令和8年熊本地震(令和8年7月28日発生)により、亡くなられた方には心よりお悔やみを申し上げます。また、被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

SNS等では被災地への寄附を呼びかける投稿を多く見かけますが、寄附にともなう税制上の取扱いについて整理された情報はまだ少ないようです。今回は、被災地への直接の寄附について、個人と法人に分けてお伝えします。

この記事で分かること

  • 被災地へのふるさと納税と、通常の寄附金控除の違い
  • 認定NPOや寄付サービスを利用する際の税制上の注意点
  • 法人が利用できる企業版ふるさと納税の仕組み
  • 寄附金控除を受けるために準備しておきたい書類

※本稿は令和8年8月時点の情報に基づいています。義援金の税務上の取扱いは、国税庁が公表している「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」(令和7年9月更新)を踏まえたものです。受付期間や振込先の情報は変更されることがあるため、実際に寄附される際は、必ず各団体の公式ページで最新情報をご確認ください。

2 個人の場合

(1)ふるさと納税

①税制面
ふるさと納税の合計額-2,000円が寄附金控除の対象となり、その分だけ所得税・住民税が少なくなります(所得税は所得控除、住民税は税額控除という形で反映されます)。ただし、控除には所得等に応じた上限額があるのでご注意ください。上限額を超えた部分は、(2)の通常の寄附金控除と同じ扱いになります。
※上限額(概算)はお使いのふるさと納税サイトのシミュレーターなどで確認できます。

②寄付先
被災地の自治体に最終的に届けられる、以下の義援金は、国税庁の取扱いにより原則としてふるさと納税に該当します。
※熊本県共同募金会の募集要綱には、この義援金が地方税法第37条の2第1項第1号(都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金=ふるさと納税の根拠条文)に規定する寄附金にあたる旨が明記されています。

  • 熊本県「令和8年熊本地震義援金」(肥後銀行・熊本銀行・ゆうちょ銀行)
  • 日本赤十字社「令和8年熊本地震災害義援金」(ゆうちょ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行)
  • 熊本県共同募金会(赤い羽根)「令和8年熊本地震義援金」(ゆうちょ銀行)

※口座情報・受付状況は変わることがあります。振込前に必ず各団体の公式ページでご確認ください。

上記のほか、ふるさと納税の各サイト(さとふる・ふるさとチョイス・楽天ふるさと納税・ふるなび等)でも令和8年熊本地震に関する特設ページを設けているようです。詳細は各サイトの特設ページでご確認ください。
なお、被災地の事務負担への配慮から、被災自治体に代わって別の自治体が寄付を受け付ける「災害代理寄付」の仕組みもあります。寄付先の一覧に見慣れない自治体名が並んでいても、正規の受付方法ですのでご安心ください。
本稿執筆時点では、受付期間はいずれも令和8年7月29日から10月30日までを予定していますが、団体により多少異なりますので、寄付前にご確認ください。

(2)その他の寄付先

①税制面
寄附金の合計額-2,000円を寄附金控除として控除することができます。(1)のふるさと納税と異なり、住民税からの税額控除の優遇は受けられません。また、寄附金控除にも所得金額等に応じた上限があります。詳しくは国税庁ホームページ「寄附金を支出したとき」をご覧ください。

②寄付先
被災地支援を行う認定NPO法人等への寄付は、一定の要件を満たせば①の寄附金控除の対象になります。
また、寄付サービスの中には、そもそも税制上の優遇の対象外のものもあります。たとえば「楽天ふるさと納税」経由の寄付はふるさと納税の対象になりますが、名称の似た別サービスの「楽天クラッチ募金」は、寄附金控除の対象外と公式に明記されています。寄付する前に、その寄付が控除の対象かどうかを、各サイトの案内で確認することをお勧めします。

(3)寄附金控除を受けるために必要な書類

①寄付したことが分かる書類
・自治体や団体が発行する受領証・預かり証(発行を受けた場合)
・受領証・預かり証の交付を受けない場合は、銀行振込の際の利用明細票が代わりになります
②寄付先が対象の義援金口座であることを示す書類
・受領証・預かり証の交付を受けない場合、①の利用明細票だけでは口座の性質が分からないため、各団体が発行する募集要綱(公式ホームページからダウンロードできる場合が多いです)などをあわせて用意しておくと安心です
※確定申告の際に必要な書類は状況により異なります。詳しくは最寄りの税務署にご確認ください。

3 法人の場合

(1)対象となる寄付先
個人の場合と同様に、熊本県・日本赤十字社・熊本県共同募金会等への寄付が対象です。
(2)全額損金算入
(1)の寄付先への寄付は、税務上、全額を費用(損金)として計上できます。
(3)企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)
企業版ふるさと納税(正式名称:地方創生応援税制)は、国の認定を受けた地方創生の特定事業を企業の寄附で応援する制度で、被災地の自治体の中には、これを活用して復旧・復興事業への寄付を受け付けているところもあります。
※(1)の義援金(被災者支援そのものが目的)とは、制度の目的が異なる点にご注意ください。
この制度では、(2)の全額損金算入に加えて、法人関係税(法人税・法人住民税・法人事業税)から税額控除も受けられ、実質的な負担が寄付額の最大約1割程度(損金算入+税額控除の合計)まで軽減されるケースもあります(10万円以上の寄付が対象です)。ただし、対象は国の認定を受けた特定の自治体・事業に限られるため、(1)の義援金とは別に、各自治体の公式ページや専用プラットフォームで対象事業を確認する必要があります。
(4)取引先への支援をする場合
被災した取引先への支援(災害見舞金の支給、自社製品の無償提供等)についても、一定の要件を満たせば全額損金算入が認められます。ただし、要件の判断が難しいケースもあるため、支援の前に税理士へご相談いただくことをお勧めします。

4 寄付をする前に確認したいこと

災害の直後は、正規の団体を装った偽の募金サイトや、SNSでの不審な送金要求が出回ることがあります。実際に、今回の地震でもすでにそうした事例が報告されています。
寄付をする際は、必ず自治体や日本赤十字社など、公式に確認できる寄付先を通じて行うようにしてください。

5 おわりに

被災地への寄附は、金額の大小にかかわらず、大切な支援になります。税制上の取扱いについて分からないことがあれば、オンライン個別税務相談にてお気軽にご相談ください。

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