マイホーム相続・贈与の税金 負担と節税のポイントを整理する
マイホームにまつわる税金についてお伝えするシリーズの第5回(最終回)です。今回は、相続や贈与によりマイホームを取得した場合に課税される税金と、代表的な節税策についてお伝えします。
相続・贈与は、親族間で行われることが多く、税負担が意外と重くなりやすいテーマです。一方で、マイホームならではの軽減策もいくつか用意されています。まずは相続と贈与の根本的な違いを押さえたうえで、具体的な税金と節税のポイントを整理します。
※本記事は令和8年7月時点で施行されている法令に基づいて執筆しております。ここで取り上げる制度の一部(1・2の不動産取得税)は期限のある特例のため、時期によって適用の可否が変わります。
1 相続により取得した場合に課される税金
相続(遺贈を含みます。以下同じ)により、被相続人が所有していたマイホームを取得した方に関係する話です。相続は「財産全体から税額を計算し、取得割合に応じて各人に割り振る」という考え方をします(一方、後述する贈与は「1年間に受け取った財産に対してその都度課税される」点が異なります)。この場合には、次の税金が課税されます。
(1)相続税
世間一般に広く知れ渡っている税金だと思いますが、計算方法は非常に複雑です。相続税は、まず全体の税額を出してから、各人に割り振るという仕組みになっています。概要は次のとおりです。
- 被相続人が所有していた財産(マイホームを含む)をもとに、相続税の総額を算出します。
- 相続税の総額を、相続により取得した財産の割合に応じて各人に割り振ります。

(2)登録免許税
相続により取得したマイホームについて、所有権移転登記をする際に課税されます。取得した人が相続人かどうかで、次のとおり税額が異なります。
- 相続人 固定資産税評価額×0.4%
- 相続人以外 固定資産税評価額×2.0%
(3)不動産取得税
基本的には課税されません。ただし、相続人以外の人が特定遺贈という方法により被相続人のマイホームを取得した場合には、次の税額が課税されます。
- マイホームの敷地 固定資産税評価額×50%×3.0%
- 住宅 固定資産税評価額×3.0%
【重要】この税率・軽減の内容は、令和9年(2027年)3月31日までの取得が対象です。マイホーム所在地の都道府県への申告も必要です。
2 贈与により取得した場合に課される税金
贈与によりマイホームを取得した方に関係する話です。この場合には、次の税金が課されます。
(1)贈与税
こちらも相続税ほどではないとしても、世間一般に広く知れ渡っている税金だと思います。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与により取得した財産(マイホームを含む)をもとに計算します。
(2)登録免許税
贈与により取得したマイホームについて、所有権移転登記をする際に次の税額が課税されます。
固定資産税評価額×2.0%
(3)不動産取得税
贈与によりマイホームを取得した場合には、次の税額が課税されます。
- マイホームの敷地 固定資産税評価額×50%×3.0%
- 住宅 固定資産税評価額×3.0%
【重要】この税率・軽減の内容は、1でお伝えした特定遺贈の場合と同じく、令和9年(2027年)3月31日までの取得が対象です。マイホーム所在地の都道府県への申告も必要です。
3 節税策
ここまで、相続・贈与により取得したマイホームについて課税される税金をお伝えしました。相続・贈与は税額が大きくなりやすいため、節税策の有無で負担が大きく変わります。ここからは、代表的な2大節税策を2点ご紹介します。
(1)小規模宅地等の特例(相続税)(被相続人と同居していた親族などが対象です)
被相続人が居住していたマイホームの敷地のうち330㎡までの部分について、相続税評価額を最大80%減額するものです。相続税では代表的な制度で、雑誌などでも取り上げられているかもしれません。ただし、対象者はかなり限定されており、誰でも使えるわけではありません。
適用の条件が非常に複雑なので詳細は説明しませんが、対象となる人の概要は次のとおりです。
- 被相続人の配偶者、被相続人と同居していた親族
- 上記の人がいない場合における被相続人の親族で、相続開始前3年以内に自己や配偶者などが所有する家屋に居住していないなど、一定の要件を満たす人(いわゆる「家なき子」特例の対象者)
したがって、マイホームの相続については、被相続人の生前から上記の点を強く意識する必要があります(被相続人が他にも不動産を所有している場合には、適用が制限される可能性もあります)。
(2)配偶者控除(贈与税)(婚姻期間20年以上の夫婦間の贈与が対象です)
婚姻期間が20年以上の配偶者からマイホームの贈与を受けた、またはマイホームの購入資金の援助を受けた場合に、基礎控除110万円とあわせて最大2,110万円分まで贈与税を非課税とするものです。マイホームすべての所有権だけでなく、一部の持分の贈与も対象となります。
そのため、生前に相続財産を減らすことによる相続税対策にも利用される制度です。
4 まとめ
今回は、マイホームを相続・贈与により取得した場合に発生する税金と節税についてお伝えしました。相続や贈与のほとんどは親族間で、かつ無償で行われます。そのため、常日頃から親族間でコミュニケーションをとって、円滑な相続・贈与につなげていただきたいです。
また、相続や贈与は多額の税負担が発生する可能性が大きいため、税理士が関与する機会が多いです。税理士に相談しなかったがために、多額の税金を余計に納付する可能性があります。
そうならないためにも、早め早め(相続発生前や贈与前)にオンライン個別税務相談にて当事務所にご相談ください。
マイホームの税金は、購入・増改築・売却・相続・贈与のどの段階でも大きな影響があります。全5回のシリーズを通じて、その全体像をつかんでいただければ幸いです。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。



