マイホーム購入の節税 自分に合った軽減措置を見つける
マイホームにまつわる税金についてお伝えするシリーズの第2回です。前回は新築・購入をした場合に課税される税金についてお伝えしましたが、いろいろな種類の税金が課されることがお分かりいただけたかと思います。今回は、新築・購入をすることで可能な節税についてお伝えします。
※本記事は令和8年7月時点で施行されている法令に基づいて執筆しております。ここで取り上げる制度の多くは、住宅の性能・取得時期・世帯の状況によって適用の可否や金額が大きく変わるうえ、税制改正のたびに見直されています。すべての新築・購入に当てはまる節税ではないので、節税の可否や手続きについては当事務所にご相談ください。
制度の数が多いため、まずは自分に関係がありそうなものから確認するとよいでしょう(複数に該当する方も少なくありません)。
- 住宅ローンを組んで購入する方 → 1(1)住宅ローン減税
- 自己資金中心で性能の高い住宅を建てる方 → 1(2)投資型減税
- 自治体の補助金を受け取る方 → 1(3)助成金等の非課税措置
- 親や祖父母などから資金援助を受ける方 → 2(1)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
- 配偶者から住宅や資金の援助を受ける方 → 2(2)贈与税の配偶者控除
- 登記・不動産取得・固定資産税の軽減も気になる方 → 3〜5
※複数の制度に同時に該当するケースも多いため、気になる項目はすべて確認してみてください。
1 所得税
(1)住宅ローン減税
住宅ローンを組んでマイホームを購入する方の多くが対象になり得る制度です。住宅の新築・購入に伴う節税策として一番有名かもしれません。住宅ローンを組んで住宅を新築・購入する場合に、年末のローン残高の0.7%を、新築住宅で原則13年間、既存住宅(中古)で原則10年間、所得税から控除する制度です。確定申告(給与所得者は年末調整で控除を受ける場合、基本的に初年度のみ)で一定の手続きをすれば減税されます。
控除の対象となる借入残高には上限があり、この上限額は住宅の省エネ性能や家族構成によって大きく異なります(性能や世帯区分によって数千万円単位で差が出ます)。令和8年度税制改正により、この制度は令和12年(2030年)12月31日までの入居分まで延長されましたが、年ごとに要件が見直されているため、実際にいくら減税されるかは個別の試算が必要です。
(2)投資型減税
ローンを組まず、自己資金で性能の高い住宅を建てる方向けの制度です。すべて自己資金で住宅を新築・購入する場合に受けられるものです。ただし、すべての新築・購入が対象になるわけではなく、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅など、一定の性能基準を満たす住宅に限られます。住宅ローン減税とは異なり、1年限定で、認定基準に適合するための標準的な費用の額の10%(上限65万円)の所得税を減税するというものです。住宅ローン減税と同時に受けることはできないため、どちらが有利かは事前に試算しておくとよいでしょう。
(3)助成金等の非課税措置
住宅の新築・購入にあたって自治体から助成金を支給されるケースがあります。この助成金は一時所得に該当するため、所得税が課税される可能性があります。ただし、確定申告で一定の手続きをすれば非課税とすることが可能です。
2 贈与税
(1)住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
親や祖父母などから資金援助を受けてマイホームを購入する方向けの制度です。住宅の新築・購入にあたって親族などから資金援助を受ける場合には贈与税が課税されます。ただし、贈与税の確定申告(所得税の確定申告とは別です、以下同じ)で一定の手続きをすれば、資金援助された金額のうち、省エネ性能などを満たす住宅であれば最大1,110万円分(基礎控除110万円を含む)、それ以外の住宅であれば最大610万円分まで、贈与税を非課税とすることが可能です。
この非課税措置は、令和8年(2026年)12月31日までの贈与が対象です。本記事執筆時点(令和8年7月)では、その後の延長は決まっていません。利用を検討している方は、期限に注意してください。
(2)贈与税の配偶者控除
婚姻期間が長い配偶者から住宅や資金の援助を受ける方向けの制度です。婚姻期間が20年以上の配偶者に住宅を新築・購入して贈与した、もしくは、住宅を新築・購入する際の資金を援助した場合には贈与税が課税されます。ただし、贈与税の確定申告で一定の手続きをすれば、基礎控除110万円とあわせて最大2,110万円分まで、贈与税を非課税とすることが可能です。こちらは住宅取得等資金の非課税措置と異なり、期限の定めのない制度です。
3 登録免許税
マイホームの登記をするすべての方に関係する国税です。不動産について所有権の登記をする場合には登録免許税が課税されます。住宅の新築・購入について所有権の登記をする場合には登録免許税が軽減されますが、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅に該当する場合にはさらに軽減されます(軽減措置の内容や期限については、前回の記事をご参照ください)。通常は司法書士が登記申請の際に登録免許税を納付するので抜かりないとは思いますが、念のため登記申請の前に確認したほうがよいでしょう。
ここからは、都道府県や市町村が課す地方税の軽減についてお伝えします。
4 不動産取得税
マイホームを取得したすべての方に関係する都道府県税です。住宅を新築・購入する場合には原則として固定資産税評価額の3%の不動産取得税が課税されます。ただし、一定の要件を満たす住宅については、都道府県の条例で定める期間内に一定の手続きをすれば税額が軽減されます。この手続きは所得税の確定申告とは異なり、住宅所在地の都道府県に行う必要があります。
5 固定資産税・都市計画税
マイホームを所有するすべての方に関係する市町村税(東京23区は都税)です。住宅を新築・購入した場合には、毎年1月1日現在の所有者に対して固定資産税・都市計画税が課税されます(税額は前回の記事「新築・購入をした場合に課税される税金」をご参照ください)。
一定の要件を満たす住宅については、新築・購入の翌年1月31日までに一定の手続きをした場合、固定資産税が2分の1に減額されます。減額される期間は、一般の住宅では3年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物は5年間)、認定長期優良住宅に該当する場合は5年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物は7年間)です。この手続きは所得税の確定申告とは異なり、住宅所在地の市町村(東京23区は東京都)に行う必要があります。
6 まとめ
住宅の新築・購入をした場合にいろいろな税金がかかりますが、節税策もいろいろあります。共通して押さえておきたいポイントは次の3点です。
- 住宅ローン減税と投資型減税は同時に受けられない
- 多くの制度に期限や別途手続きがある
- 性能の高い住宅ほど優遇が手厚くなる傾向がある
しかしながら、節税するための条件が複雑なうえ、年々見直されているため、新築・購入してから実は節税のための条件に合致しなかった、というケースも少なくありません。節税の可否は購入前〜購入直後のタイミングで決まるものが多いため、早めにオンライン個別税務相談にてご確認いただくと、安心して手続きを進められます。



