グループ会社間の債権債務 身内意識が生むズレと未決済

グループ会社同士の取引は、なんとなく「社内でのやり取り」の延長のように感じていませんか。

しかし、A社とB社が別の法人である以上、グループ会社間でモノやサービスをやり取りすれば、社外の取引先と同じように債権(売掛金・未収金)と債務(買掛金・未払金)が発生します。「同じグループなのだから」という感覚で、社外取引よりも管理が甘くなりがちですが、実際には別々の会社間の取引です。その結果、決済が長期間放置されていたり、双方の帳簿が一致していなかったりする事例は少なくありません。

A社からB社への商品・サービスの受け渡しに対して、A社の売掛金とB社の買掛金が本来一致するはずであることを示す図。
A社が計上する債権と、B社が計上する債務は、本来つねに一致しているはずです

このコラムでは以下の3点を整理します。

  • グループ会社間の債権債務も、社外取引と同じ扱いが必要なこと
  • グループ間だからこそズレやすい理由
  • 経営者として押さえておきたいポイント

1 グループ会社間の債権債務も、社外取引と同じように扱う必要がある

グループ会社同士であっても、モノやサービスのやり取りがあれば、通常の取引先と同じように一方に債権、もう一方に債務が発生します。A社が計上する売掛金(未収金)と、B社が計上する買掛金(未払金)は、本来つねに同じ金額で対応しているはずです。

しかし、どちらか一方の仕訳処理を誤ったり、決済が長期間行われなかったりすると、この「一致しているはず」の対応関係が崩れます。グループ会社同士の取引規模が大きくなるほど、このズレがそれぞれの会社の利益計算に無視できない影響を与えるようになります。

2 グループ間だからこそズレやすい理由

グループ会社間の債権債務は、次の2つの理由でズレに気づきにくくなります。

  • 身内意識から、確認や決済が後回しにされる
    社外の取引先であれば督促や問い合わせが来ますが、グループ会社同士だとそうした牽制が働かず、代金の未決済が半年、1年と続いてしまうことがあります。
  • 仕訳処理の誤りに気づく機会がない
    社外取引であれば相手からの請求書や督促で誤りに気づけますが、グループ間では相手も身内であるため、片方だけ計上漏れがあっても発覚しにくくなります。

どちらの場合も、決算のときに双方の帳簿を突き合わせて初めて発覚する、というケースが多く見られます。

3 放置するとどんなリスクがあるか

グループ会社間の債権債務のズレや未決済を放置すると、次のようなリスクにつながります。

  • 利益計算のズレ A社・B社それぞれの決算書の数字が実態と合わなくなります。
  • 税務上のリスク 長期間決済されない債権債務は、実質的にグループ会社への貸付とみなされ、利息を受け取っていない場合に税務上の指摘を受ける可能性があります。
  • グループ全体の実態が見えにくくなる 銀行や外部への説明の際、グループ間の取引が整理されていないと、グループ全体の資金繰りや経営状態を正確に説明しづらくなります。

4 経営者として押さえておきたいポイント

複数の会社を経営している場合、経営者として意識しておきたいのは次の点です。

  • 決算のたびに、グループ会社間の残高を突き合わせているか
    A社の売掛金とB社の買掛金など、対応する科目の金額が一致しているかを確認する機会を設けているかどうか。
  • 長期間決済されていない残高がないか
    身内だからと後回しにせず、社外の取引先と同じ感覚で決済状況を把握しているかどうか。
  • グループ間の貸し借りが常態化している場合、条件を明確にしているか
    実質的に資金を融通し合う状態が続いているなら、金銭消費貸借契約などの明文化が必要かどうかを税理士に確認しておくと安心です。

5 まとめ

グループ会社間の債権債務は、社外の取引先と同じように、本来は双方の帳簿が一致しているべきものです。しかし身内意識から確認や決済が後回しにされやすく、仕訳の誤りにも気づきにくいという特徴があります。

決算のたびにグループ会社間の残高を突き合わせ、長期間の未決済を放置しないことが、正確な決算と税務リスクの回避につながります。

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