プロ野球巨人坂本選手の申告漏れについて

今日マスコミ各社にてプロ野球巨人の坂本勇人選手が東京国税局の税務調査により2.4億円の申告漏れを指摘された旨の報道がされました。内容は料亭やクラブでの飲食費を経費として申告したが経費に当たらないと指摘されたというものです。私はこのニュースを見て違和感を感じました。以下この件について述べます

1 収入を得るのに直接必要な支出

マスコミ各社の報道によれば「収入を得るために直接必要な支出にあたらない」「野球に直接関係ない支出」というのが理由のようです。私はこれを見て違和感を感じました。
所得税法37条1項では経費とすることができる費用として以下2つの費用を挙げています。
①売上原価その他収入を得るために直接要した費用の額
②販管費その他業務について生じた一定の費用

冒頭の「収入を得るために直接必要な支出にあたらない」「野球に直接関係ない支出」は①に該当する費用です。しかしながら飲食費=交際費なので②に該当するはずです。指摘の理由としては不適切だと思います。

2 業務について生じた費用か?

それでは今回指摘された飲食費は上記②の「業務について生じた一定の費用」と言えるのでしょうか?
今回指摘された2.4億円は1年平均だと8千万円です。交際費としては非常に大きい金額です。この金額では指摘されるのもやむなしと思います。理由は2つあります。
1つは家事上の経費その他一定の費用は経費として認めないとする所得税法の存在です。
プロ野球選手のような個人事業主が支払う費用には事業に関連するものとプライベートに関連するものが混在しやすいので線引きするものです。年間8千万円の交際費はプライベートの費用に該当する可能性が高いと言えます。
もう1つは中小企業の交際費について※追記あり年間8百万円と飲食費の50%のいずれか大きい金額までしか認めないとする租税特別措置法の存在です。一般の中小企業では交際費が年間8百万円を超えることはないと思われます。総体的に個人事業主よりも事業規模の大きい中小企業との比較でも交際費が8千万円というのは大きすぎます。
上記2つの理由から今回指摘された交際費は「業務について生じた一定の費用」に該当せず、プライベートの費用である可能性が高いと考えます。

3 個人事業主が交際費を経費として落とすために

個人事業主には中小企業とは異なり交際費の金額基準はありません。
ただし、個人事業主が交際費を経費として落とすためには以下2つのことに注意が必要だと思います。
①業務上の関係者との交際費であること
②不相当に高額にならないこと
(2で挙げた※追記あり年間8百万円は参考になると思います)
ただし、法人にも言えることですが交際費に該当するかの判断は実際には難しいものがあります。
これについては別の機会に取り上げようと思いますが、金額の大きな費用を支出した、あるいは支出する予定がある場合には税理士に相談されることをおすすめします。
当事務所ではオンライン一般相談にてご相談を受け付けております。
予約サイトから予約できますのでお気軽にご相談ください。

※追記
 上記の年間8百万円の判定の対象となる交際費には1人あたり1万円以下の社外関係者との飲食費は含まれません
 しかしながらこのような飲食費を含めても年間8百万円に達する会社はあまりないと思われます

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坂本竜一税理士事務所
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