シリーズ決算① 資産・負債の残高
3月末決算のためこれから決算作業に入る会社が多いことと思います。
そこでシリーズ決算と題して決算に関して注意すべき項目について複数回にわたってお伝えしたいと思います。
今回は資産・負債の残高です。
1 なぜ資産・負債の残高が重要なのか?
ここでは例として現預金1,000円が増加する際の仕訳で考えてみましょう。
現預金1,000が計上される仕訳パターンは大きく分けて下記の4通りあります。
①収益1,000を計上
(現預金)1,000 (収益)1,000
②費用1,000を減額
(現預金)1,000 (費用)1,000
③別の資産がなくなる代わりに現預金が増加
(現預金)1,000 (資産)1,000
④負債とともに現預金が増加
(現預金)1,000 (負債)1,000
もし実際の現預金残高と帳簿残高に相違があれば上記いずれかの仕訳が誤っていることになります。
とくに①と②の仕訳に誤りがあれば相手勘定の収益・費用の合計、つまり利益計算が誤っていることになります。
これは資産の増加・資産の減少・負債の増加・負債の減少についても同じことがいえます。
資産・負債の残高に誤りがあれば利益計算も誤っている可能性があるということです。
2 資産・負債の残高はどうやって確認するか?
客観的な証拠が残っている科目はその証拠と突合すれば確認できます。
客観的な証拠があるものは主に下記のものがあります。
①現金
金庫やレジなど所定の場所に保管してある現金の残高を確認すれば分かります。
②預金
通帳やネットバンキングにおける入出金明細などで確認すれば分かります。
③商品などの在庫
所定の場所に保管してある在庫の残高を確認すれば分かります。
③金融機関からの借入金
返済表の残高を確認すれば分かります。
①・③は現実にモノとして存在する証拠、②と④は第三者が作成した証拠です。
会計帳簿とは別に売掛帳のような補助簿を作成している会社もあるかもしれませんがここでいう客観的な証拠には含みません。
客観的な証拠がない科目についてはまず始めに決算月に計上した金額が決算期末の残高になっているかを確認しましょう。
下図は2月末残高が3,500,000円である売掛金の総勘定元帳です。
すべての売上について翌月に入金される取り決めになっていたという前提があるものとします。
下図では3月に借方に計上された金額と3月末残高が一致しています。
この場合には売掛金の帳簿残高について問題ないと言えます。

3 決算月に計上した金額と決算日の残高が一致しない場合
仮に決算月に計上した金額と決算日の残高が一致しない場合には仕訳が誤っている可能性もありますし、
前月以前に計上されたものが残っている可能性があります。
次回以後、主な科目についてその要因と対処についてお伝えしたいと思います。
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