シリーズ決算⑧ 残高一覧

シリーズ決算の8回目は残高一覧です。
前回までは資産負債の残高を確認することの重要性について代表的な勘定科目を取り上げて説明してきました。
また、前回までは総勘定元帳を用いて確認する方法についてご説明しましたが、今回は会計ソフトなどに搭載されている残高一覧の機能を用いて簡便的に確認する方法をご紹介します。

1 補助科目残高一覧

会計ソフトを利用する場合に各勘定科目に補助科目を付けることが多いかと思います。
そこで売掛金を例に考えてみたいと思います。
下図左は売掛金の補助科目の残高一覧です。
A社は問題ないとしてB社は残高がマイナスで異常、C社も売掛金残高としては異常です
そこでB社とC社の補助元帳を確認すると下図右のように記帳されているかもしれません。
それぞれの原因として下記のように考えられます。
①B社に対する売掛金はないはずなのに2/15に入金された分がB社からの入金として処理された。
 または、B社に対する売掛金の計上漏れがあった。
②C社への1月売上として330,030円計上されたが、2/28に入金された分が330,000円として処理された。
 または1月売上として計上されるべき金額が330,000円だった。
このように補助科目一覧をざっと見渡して異常値があれば補助元帳を確認してみることが必要です。

2 その他の残高一覧

補助科目を設定する機能はどの会計ソフトにも標準的な仕様としてあるかと思います。
しかし、会社規模が大きくなると補助科目だけでは管理しきれず、別の指標も使って管理する必要があります。
会計ソフトの仕様にもよりますが、指標との対応関係で考えると下記のような確認が有効だと思います。
なお、確認のしかたについては1の補助科目と同様です。
①債権債務
 取引先一覧で確認することにより取引先ごとの科目の異常値が確認できる。
 取引形態から本来計上されないはずの科目が計上されていることも確認できる。
②社内の部門ごとの損益
 部門別一覧で確認することにより所属ごとの損益科目の異常値が確認できる。
 各部門の行動態様から本来計上されないはずの科目・金額が計上されていることも確認できる。
上記以外にも補助科目、取引先、部門以外にも管理するべき指標について科目ごとに設定している会社もあるかと思います。
重要な指標については残高一覧で確認することが重要でしょう。
 

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坂本竜一税理士事務所
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